オム レストハウス
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ここから人がやっとすれ違うことができるぐらい道がせまくなっておる。
オートリクシャーはここまで。
さて、この先、石畳の迷路が続いている。
これは確実に迷うパターンである。
とにかくまっすぐ行って、さらに細い路地を左に入ればよいだけなのだが、どれぐらいまっすぐ行けばよいのか、左に曲がるところの目印はなんなのか、さっぱり聞いてこなかった。
マイペンライ、マイペンライ。
どうにかなるっしょ。
基本的にぼくも山ちゃんもだいじょうぶだぁ教に入信している。
そしてだいたい痛い目にあっているのだが。
山ちゃんと立ち往生していると、オッサンが話しかけてくる。
「ドコ、イキタイ?」
この片言の日本語でぼくらの脳内警報機ピーピーピーッ!である。
日本語がしゃべれる→日本人をカモにし、オイシイ思いをしてきた→次はぽっくんたち!
反射的にそう思ってしまうのである。
「へけっ、オムレストハウスってとこに行きたいんでしゅけど、知ってましゅ?」
しばらく考え、「カモン」と言って歩き出すオッサン。
大丈夫かぁ?
山ちゃんの顔をのぞくと、エンヤ婆のホテルに入った承太郎のようにまったく信用していない冷たい目をしていた。
こりゃ、オッサンが自分の懇意にしてるゲストハウスなんかに連れていっちゃったりした日には、名古屋のスタープラチナが「どこ連れってっとるんだがねぇ!オラオラオラオラっ!!」ってことに・・・。
しばらく歩いてるうちに小雨が降ってきた。
ゴードーリヤに着いた時には地面が濡れていたので、降ったり止んだりしてたみたいだ。
石畳に泥や牛のフン、おまけに雨ですべってすべってしょうがない。
おまけにクソまでしたくなってきた・・・。
タイミング悪すぎ。
こういう時って最悪である。
ウンコを我慢してるけど、オムレストハウスまでどれだけ我慢すればいいかわからない。
一番困る~!
もしめっちゃ遠いってわかってたら、どっかの店に入って金払ってでも処理してしまいたい。
しかし、「実はあと20歩で着くんじゃないか!?」みたいな希望を人間どうしても抱いてしまうのである。
20歩歩くたびに期待を裏切られ、また新たな希望を胸に20歩をカウントダウン。
そろそろ限界って時にオッサンが「コッチイケ。スグソコニアル」みたいなことを発言!
ダッシュするぼく。
「myさん!そんなに急がなくても!」
そういう山ちゃんを振り向きもせず、小走りで路地に入った。
「あっ、あれか~!助かったぶぁい」と思った瞬間、ステーン!
見事、牛のクソを踏んづけ、サマーソルトキックを空振り(アホだ、コイツ・・・)。
腰を強打し、うずくまるぽっくん。
「ぷぷっ!大丈夫っすかぁ。危ないっすよぉ」
まぁ、とにかくオムレストハウスに着いたっす。