イスタンブールのメシ
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ボクは、かなり疲れていたとしてもバスや飛行機の中でなかなか眠れないのである。
夜行バスなんて悲惨。
体は睡眠を欲しがっておるのだが、まったく眠れない。
翌朝目的地に着くと、疲労で気持ち悪くなってしまうのである。
ささっと熱いシャワーを浴び、ベッドにもぐりこんだ。
チューリップゲストハウスはドミもあるが、いっぱいだったので、シングルに泊った。
たぶん20ユーロぐらいだったと思う。
アジアでの安宿に比べたらメチャ高く感じたが、ヨーロッパに近づいてきたのでこんなもんなんだろうとあきらめた。
そのかわりきれいな部屋、清潔な水回り、朝メシ付き、ブルーモスクは歩いて5分という立地でまぁ納得。
起きると夕方になっておった…。
ハラがめちゃめちゃ減っていた。
まずはメシである。
でも新しい町でのメシ屋探しは楽しみではあったが、緊張を強いられるものでもあった。
値段は? 注文のしかたは? 一人で入ってもいい店か?
いろいろ考えなくてはならない。
宿から少し歩いて賑やかな通りに出た。
レストランみたいな店がちらほら。
何軒か見て、オッサンが一人で入っていく店を見つけた。
トルコ料理と言えばケバブである。
ちょっとスパイスを効かせた肉を焼いただけのシンプルな料理。
たぶん日本人の口にも合うだろう。
オッサンが入っていった店は、店頭にデカいアルミのパッドに入ったお惣菜をいくつも並べていた。
そこから好きな物をチョイスして食べるスタイルだ。
こいつは初めてバンコクに来た時もずいぶんお世話になった。
食べたい物を指をさせばいいのでありがたい。
恐る恐るお惣菜の前に立って、店のオヤジと目を合わせた。
オヤジは、「食べるか?」というジェスチャーをしたので、コクリとうなずき料理を選んだ。
焼き鳥のように肉を串に刺したシシケバブとハンバーグみたいなもの、フレンチフライを指差した。
オヤジはニヤっと笑って、「パンはどうする?」と聞いてきた。
もちろん食べたいと言った。
席に着くとすぐ料理が出てきた。
腹が減っていたので、文字通りガツガツと食べた。
そんなに温かくはなかったが、スパイスが肉の臭みを見事に消していてうまかった。
値段も決して高くなく、これでトルコで飢えなくて済みそうだ。
部屋に帰って、ベッドに寝そべって本を読んでいた。
静かや…。
特にやることもない。
仲間もいない。
酒もない。
ヨーロッパの冬はホンマに厳しそうやな…。