フリーダム
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パトゥーサイでの妄想から目を覚ましたぼくらはラオス最古の寺・ワットシーサケットと黄金に輝く寺・タートルアンを見に行った。
ワットシーサケットは、バンコクのワットポーやワットプラケオに比べればこじんまりとした地味な寺だが、観光客は少なくのんびりした雰囲気である。
タートルアンは、黄金なのだがなんとなく安っぽい金色で、タミヤのエナメルカラーで塗った百式みたいだった・・・。
外から見れば、割とマシなのだが・・・。
屋根裏に注目(後ろ姿は信長)。
木がむき出し。
ホームセンターで売ってる2×4(ツーバイフォー)材みたい。
それに比べて日本の正倉院とかって偉大やな。
写真を撮っていると、信長はすでに出口のところでタバコを吸いながらぼくが出てくるのを待っている。
しばらくして戻ると、「ふぅ・・・。寺とか興味あるんすか?オレはこういうの全然ダメっす」と言う信長。
信長はワットシーサケット、タートルアンで一歩も立ち止まらなかった。
しかし、しかしだ、信長くん。
寺でも見に行きましょうよって誘ったのはオマエだっつーのっ!
こんなフリーダムちゃんを育てるのはさぞ苦労しただろうと、信長の母親をいたわりたい気持ちになった。
5秒後、「いや、こんな風に育てたのは信長の母親なんじゃないの?」と思いなおし、信長の母親に十二単(ひとえ)を着させてメコン川を泳がせたくなった。
いったん宿に帰ると、入口でおばちゃんと娘が何やら大きなざるをのぞいている。
行商のおじさんが魚を売りに来ていたのだ。
ぼくものぞいてみるとこんな魚が・・・。
【ロイヤルナイフ】
生息地:メコン川 体長:60cm以上になる 寿命:10年
ぼくはこの魚を大事に飼っていたのである。
ゆらゆら~っと泳いでいるのだが、餌の冷凍アジやししゃもをあげるとメタリックに輝く魚体を反転させすばやく喰らいつく。
買ったときは10cmぐらいだったが、すくすく成長し40cmぐらいになった。
いろいろ他にも飼っていたが、コイツは結構お気に入りだった。
しかし、仕事を辞め旅に出ることになったので、泣く泣くペットショップに引き取ってもらったのだ。
それを食べちゃうの!?
宿のおばちゃんもラオス美人の娘さんも、どうやら味覚はストⅡのブランカ並みらしい・・・。
さて、ぼくらもメシを食いに行くことにした。
ビエンチャン1日目はメコン川沿いにある屋台で夕食をとった。
川沿いの広場には観光客向けの屋台がたくさんあり、夕方になるとにぎわってくる。
屋台の前では魚やイカ、チキン、ラオス風ソーセージなどを炭火で焼いていて食欲をそそる。
もちろんバーベキュー以外の料理もある。
ぼくらは鳥のから揚げとエビ春巻き、肉野菜炒めをたのんだ。
メコンの夕日を見ながらビアラオで乾杯。
テーブルは安っぽい折りたたみ式だし、イスもプールの監視員が座ってるようなボロいプラスチック製だが、それが闇に隠され、キャンドルが灯されるとロマンチックな雰囲気にさえなってくる。
ここでマリちゃんにお酌してもらえたらなぁ・・・。
「myちゃん、いつもビールいっぱい飲む、ダメデス」
「しゃあないやん。好きなんやもん」
「ベッド行く。すぐ寝る。マリちゃん、いつもツマラナイ。トーキング、いっぱいしたいデス☆」
かわいいのぉ。
じゃあ今日は控えめにして・・・。
「myちゃんっ!あ~、食っちゃった?いま口に入れたの、おれが捨てたエビ春巻きのシッポですよ。」
なぁ信長。
捨てるんならメコン川に捨てちまえよ。
なんで肉野菜炒めの皿に入れるわけ?
オマエはフリーダムって英語で書けないくせにフリーダム過ぎるんだよっ!